2018年5月1日
「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施/ご相談はくぼた労務行政事務所まで!
厚生労働省から、アルバイトを始める新入学生が多い4月から7月まで、全国で「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施するとの発表がありました。キャンペーンは昨年に引き続き実施されるものですが、過去の調査結果等では、労働基準法で規定されている労働条件の明示がなかったと回答した学生が多かったことなどを踏まえ、学生向けに身近に必要な知識を得るためのクイズ形式のリーフレットの配布等による周知・啓発などを行うとともに、大学等での出張相談を引き続き行うとのことです。
都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応するといった取組みも実施されるようです。
会社・使用者側からすると、アルバイトを雇い入れる際には、学生等から不備を指摘されることがないよう、労働基準法令を遵守しておく必要があります。
1 実施期間 平成30年4月1日から7月31日
2 重点的に呼びかける事項
(1) 労働条件の明示
(2) 適切な勤務シフトの設定
(3) 労働時間の適正な把握
(4) 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
(5) 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止
●事業主向けのポイント
■アルバイトを雇うとき、書面による労働条件の明示が必要です!
雇い始めてから、「最初の話と違う」といったトラブルが起こらないように、会社から労働条件通知書などの書面を交付し、労働条件をしっかり明示する必要があります。特に次の6項目については必ず書面で明示しなければなりません。
1:契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)
2:契約期間の定めがある契約を更新するときのきまり(更新があるか、更新する場合の判断のしかたなど)
3:どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)
4:勤務時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、 残業の有無、休憩時間、休日・ 休暇、交替制勤務のローテーションなど)
5:バイト代(賃金)はどのように支払われるのか(バイト代の決め方、計算と支払いの方法、支払日)
※バイト代などの賃金は都道府県ごとに「最低賃金」が定められており、これを下回ることはできません。
また、高校生アルバイトや雇入れ後の研修期間中も、最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
6:辞めるときのきまり(退職・解雇に関すること)
■学業とアルバイトが両立できるような勤務時間のシフトを適切に設定しましょう!
大学生等に対するアルバイトに関する意識調査(平成27年厚生労働省実施)では、大学生等から「試験の準備期間や試験期間中に休めなかったり、授業に出られないほどのシフトを入れられた、または変更された」といった回答がありました。本来、学生は学業が本分であり、学業とアルバイトが適切な形で両立できる環境を整えるよう配慮する必要があります。また、採用時に合意したシフトの変更などの労働契約の内容の変更については、労働契約法第8条により労働者と使用者の合意が必要であり、使用者が一方的に急なシフト変更を命じることはできません。
■学生アルバイトの労働時間を適切に把握する必要があります!
アルバイトについて、労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する必要があります。
就業を命じられた業務に必要な準備や片付けの時間、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練を受講していた時間も労働時間となります。また、原則として労働時間の端数は1分でも切り捨てることはできません。さらに、アルバイトにも残業手当の支払は必要です。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインについては厚生労働省ホームページをご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
■商品を強制的に購入させることはできません。また、一方的にその代金を賃金から控除することもできません。
アルバイトが希望していないのに、商品を強制的に購入させることはできません。また、アルバイト本人が希望して商品を購入した場合でも、賃金から、労使協定なしに一方的に商品代金を差し引くことは、労働基準法に抵触します。
■アルバイトの遅刻や欠勤等に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることや労働基準法に違反する減給制裁はできません。
アルバイトが遅刻や欠勤などによる労働契約の不履行や不法行為に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることはできません。
遅刻を繰り返すなどにより職場の秩序を乱すなどの規律違反をしたことへの制裁として、就業規則に基づいて、本来受けるべき賃金の一部を減額する場合であっても無制限に減給することはできません。1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、複数にわたって規律違反をしたとしても、減給の総額が一賃金支払期における金額(月給制なら月給の金額)の10分の1以下でなくてはなりません。