2019年3月26日
36協定届の作成支援ツール 新様式にも対応/ご相談は社労士 大阪 くぼた労務行政事務所まで!
厚生労働省は、入力フォームから必要項目を入力・印刷することで、労働基準監督署に届出が可能な36協定届などの書面を作成することができるツールを、同省のホームページに用意しています。この支援ツールについて、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制の導入に伴って変更された「36協定届の新様式」への対応が完了しています。
新様式は、2019(平成31)年4月1日以降の期間を対象とする36協定を締結するときから用いますが、中小企業では、その適用が1年遅れとされており、それまでは、現行の36協定届(旧様式)を用いることとされています。
それを考慮して、この支援ツールでは、新・旧両方の36協定届の作成が可能となっており、支援ツールの特徴や使い方も丁寧に説明されています。
尚、派遣会社の場合は、その派遣会社が中小企業であっても、派遣先が大企業の場合は新様式での届出となるので注意が必要です。
<作成支援ツール(36協定届、1年単位の変形労働時間制に関する書面)について(厚労省)>
https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support.html
36(サブロク)協定に関する法改正について
労働時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間をいいます。労働時間の長さは、週40時間(※1)以内、1日8時間以内に制限されています(法定労働時間、労基法32)。また、休日とは、労働契約で労働義務がないとされている日のことをいいます。使用者は労働者に毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません(法定休日、労基法35)。
この法定労働時間を超えて労働させる、あるいは法定休日に労働させると労働基準法(労基法)違反となります。
しかし、仕事の都合などで、法定労働時間を超えて労働させる(法定時間外労働)あるいは法定休日に労働させる(法定休日労働)必要がある場合には、従業員の過半数を代表する者(※2)と協定を結び、事業場を管轄する労働基準監督署長に届け出て、その協定の範囲内で労働させるのであれば、労基法違反(※3)に問われることはありません。この協定は労基法第36条に規定されていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。
≪上限規制≫
労働基準法の改正により、2019年4月1日(中小企業については2020年4月1日)から、36協定において協定できる法定労働時間を超えて労働させることができる時間数や法定休日において労働させることができる時間数については、上限時間が新たに法定化されています。
具体的には、法定労働時間を超えて労働させる場合には、36協定において必ず「1日」、「1か月」、「1年」それぞれについて労働させることができる時間数を定めなければならないこととされ(改正労基法36②)、その時間数については、原則として「1か月45時間」、「1年360時間」の限度時間の範囲内で定めることが必要とされています(改正労基法36③)。
ただし、通常予見できない業務量の大幅な増加等に伴い必要がある場合に限っては、限度時間を超えて次の①から③の範囲内で労働させることができる旨を定める特別条項付きの36協定を締結することができます(改正労基法36⑤)。
≪特別条項で定めることができる労働時間の範囲≫
①1か月の法定労働時間を超える時間外労働時間数と法定休日労働における労働時間数の合計が100時間未満
②1年の法定労働時間を超える時間外労働時間数は720時間以下
③対象期間の1年間に法定労働時間を超える時間外労働時間数が1か月45時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制の場合には1か月42時間)を超えることができる月数は6月以内
ただし、36協定に基づき労働させる場合においても、①1か月の法定労働時間を超える時間外労働時間数と法定休日労働における労働時間数の合計は100時間未満(改正労基法36⑥(2))、②2~6か月間の1か月当たりの平均労働時間は80時間以下(改正労基法36⑥(3))としなければなりませんので、この点についても36協定締結の際に労使の協定当事者が確認しておくことが必要です。
なお、中小企業は、改正労基法が適用されるまでの間においても、36協定締結に当たっては、上限規制を勘案して協定を締結するよう努めてください。
また、年少者・妊産婦・育児をしている者・介護をしている者など働く時間に制約がある者は、申し出があれば制限(※5)されることとなっています。
≪適用除外業務≫
新技術、新商品、新役務の研究開発に係る業務については、上記の限度時間及び特別条項付き36協定における上限時間の規定は適用されません(改正労基法36⑪)。
≪適用猶予事業、業務≫
次の事業、業務には2024年3月31日までの間、上限規制の適用が猶予されています。
①建設の事業(建設業の本店・支店等及び建設業関連の交通誘導警備業務を含む。)(2024年4月1日から一般則適用。ただし、災害時における復旧・復興事業については月100時間未満、2~6月平均月80時間以下は適用なし)(改正労基法139)
②自動車運転者(2024年4月1日から1年960時間上限)(改正労基法140)
③医業に従事する医師の業務(2024年4月1日から上限規制適用:内容は現在検討中)(改正労基法141)
④鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造の事業(月100時間未満、2~6月平均月80時間以下の規制を適用除外:2024年4月1日から一般則適用)(改正労基法142)
≪36協定届の様式≫
36協定届の様式は、次のとおり定められています。
中小企業の場合(※6)
・2024年3月31日まで上限規制が適用猶予される事業場・労働者(建設業、鹿児島・沖縄の砂糖製造業、自動車運転者、医療に従事する医師)の場合:様式第9号の4(改正労基則70)
・上記以外の事業場・労働者の場合:改正前労基則様式第9号(改正前労基則17①)
大企業の場合
・延長時間が限度時間を超えない事業場の場合:様式第9号(改正労基則16①)
・延長時間が限度時間を超え特別条項を設けている事業場の場合:様式第9号の2(改正労基則16①)
・適用除外業務の場合:様式第9号の3(改正労基則16②)
・適用猶予事業、業務の場合:様式第9号の4(改正労基則70)
中小企業とは
①資本金の額又は出資の総額が
小売業 5千万円以下
サービス業 5千万円以下
卸売業 1億円以下
上記以外 3億円以下
又は
②常時使用する労働者数が
小売業 50人以下
サービス業 100人以下
卸売業 100人以下
上記以外 300人以下
少し複雑になりましたが、ご自分の会社がどれに該当するかをしっかりと把握して対応下さい。
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